1 各種調査からみた食生活における変化等
令和2(2020)年5月から6月に内閣府が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(*1)」では、49.9%が「家族の重要性を、より意識するようになった」と回答しました(図表1-1-1)。また、家族と過ごす時間が増えたと回答した人が、全体の70.3%でした(図表1-1-2)。さらに、「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識の変化について、「生活を重視するように変化」したと回答した就業者(*2)が50.4%でした(図表1-1-3)。このように、新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナウイルス感染症の感染拡大と食育」では、「感染症」という。)の感染拡大に伴い、家族や仕事に対する意識に変化がみられたことが分かります。加えて、感染症の影響下において、16.0%が「本格的な趣味(芸術、料理等)に新たに挑戦した」と回答しており、新たに料理作りに取り組む人もいました(図表1-1-4)。
*1 調査方法:インターネット調査(国内居住のインターネットパネル登録モニター)回収数:10,128
調査期間:5月25日~6月5日(5月25日~29日に半数を回収し、6月1日~5日に残りの半数を回収)
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/index.html(外部リンク)
*2 就業者の内訳は、正規雇用、非正規雇用、会社などの役員、自営業(手伝いを含む)、内職・在宅ワーク
同調査では、テレワークの取組についても調査しており、令和2(2020)年12月に実施した「第2回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(*3)」によると、緊急事態宣言(令和2(2020)年4~5月)下で実施されていたテレワークの取組が令和2(2020)年12月の段階でもある程度維持されていたことが示されました。一方、テレワーク実施率は東京都23区と地方圏(*4)で大きな差があることが明らかになりました(図表1-1-5)。
*3 調査方法:インターネット調査(国内居住のインターネットパネル登録モニター)
回収数:10,128(うち継続サンプル5,212)
調査期間:12月11日~17日
*4 東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、名古屋圏(愛知県、三重県、岐阜県)、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)以外の北海道と35県
都市圏(東京圏、大阪・名古屋圏)では、通勤にかかる時間が減少した就業者の割合も高くなっています。このことからも、自宅で過ごす時間が増えたことがうかがえます(図表1-1-6)。
令和2(2020)年12月に農林水産省が行った「食育に関する意識調査」では、「あなたご自身の現在の食生活は、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて変わりましたか。」という質問に対し、自宅で料理を作る回数と自宅で食事を食べる回数が「増えた」と回答した人の割合がそれぞれ26.5%、35.5%となりました。一方、栄養バランスのとれた食事や規則正しい食生活リズムについて、「変わらない」と回答した人が約8割を占めました(図表1-1-7)。
自宅で料理を作る回数について、他の世代に比べ、20~39歳では、男女とも「増えた」と回答した人が多く、特に女性の20~39歳では、43.5%が自宅で料理を作る回数が「増えた」と回答しました(図表1-1-8)。
都市規模別(*5)にみると、自宅で料理を作る回数が「増えた」と回答した人は、東京都区部で35.9%であったのに対し、小都市、町村ではともに21.7%でした。また、小都市、町村ではそれぞれ67.4%、66.4%が「変わらない」と回答しました(図表1-1-9)。
*5 都市の規模に応じて、東京都区部、政令指定都市、中都市(人口10万人以上)、小都市(人口10万人未満)、町村に区分
自宅で食事を食べる回数について、男性では34.4%が「増えた」と回答し、特に20~39歳では、48.8%に上りました。女性では36.4%が「増えた」と回答し、特に20~39歳では、58.0%に上りました(図表1-1-10)。
都市規模別では、東京都区部では52.9%が「増えた」と回答した一方、小都市、町村では約3割であり、「変わらない」が6割以上を占めました(図表1-1-11)。
家族と食事を食べる回数について、20~39歳では、男女ともに約3割が「増えた」と回答した一方、60歳以上では、男女ともに「変わらない」と回答した人が7割以上を占めました(図表1-1-12)。
都市規模別にみると、東京都区部では37.3%が、家族と食事を食べる回数が「増えた」と回答したのに対し、それ以外の都市規模では2割以下にとどまりました。また、「変わらない」と回答した人が、東京都区部以外では約7割でした(図表1-1-13)。
食事作りに要する時間や労力について、20~39歳の女性では28.3%が「増えた」と回答した一方、60歳以上では、男女とも7割以上が「変わらない」と回答しました(図表1-1-14)。
都市規模別にみると、東京都区部では32.0%が食事作りに要する時間や労力が「増えた」と回答した一方、小都市、町村では約1割にとどまり、「変わらない」と回答した人が7割以上でした(図表1-1-15)。
また、自宅で料理を作る回数が「増えた」と回答した人の約半数が、食事作りに要する時間や労力が「増えた」と回答しました(図表1-1-16)。
これらの調査結果から、特に若い世代(20~39歳)では、テレワークの増加等により、自宅で料理を作る機会や家族で食事を食べる機会が増えたことが分かりました。一方、料理を作る機会が「増えた」と回答した人が多かった20~39歳の女性では、食事作りに要する時間や労力が「増えた」と回答した人も約3割おり、自宅で食事を作ることに負担を感じている人がいることも察せられます。
また、テレワーク実施率の高い東京都区部では、それ以外の地域と比較して、自宅で料理を作る回数、自宅で食事を食べる回数、家族と食事を食べる回数が「増えた」と回答する人が多く、テレワーク等により自宅で過ごす時間が増え、家族との食事の時間等を作ることができるようになったと考えられます。一方、テレワーク実施率の比較的低い地方圏においては、自宅で料理を作る回数や家族で食事を食べる回数について「変わらない」と回答した人が東京都区部よりも多いという結果になりました。
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